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ふぃる
社会人として働きながら映画の解説や感想などを書いています。洋画や邦画など様々なジャンルの映画を見ます。

映画『テネット』あらすじネタバレ解説!ニールの最後や時系列・複雑なルールを考察

テネット 公式Facebook

2020年9月18日公開の映画『テネット

『インセプション』や『ダークナイト』シリーズでおなじみクリストファー・ノーラン監督のSFアクション作品。公開前から各方面で注目されていました。時間が逆転?わかりやすく解説していきたいと思います。

本記事はあらすじやおすすめポイント、ネタバレありで映画に対する評価や感想などを解説しています。

Contents

あらすじ

満席の観客で賑わうウクライナのオペラハウスで、テロ事件が勃発。

罪もない人々の大量虐殺を阻止するべく、特殊部隊が館内に突入する。部隊に参加していた名もなき男(ジョン・デヴィッド・ワシントン)は、仲間を救うため身代わりとなって捕えられ、毒薬を飲まされてしまう…

しかし、その薬は何故か鎮痛剤にすり替えられていた。昏睡状態から目覚めた名もなき男は、フェイと名乗る男から“あるミッション”を命じられる。それは、未来からやってきた敵と戦い、世界を救うというもの。

未来では、“時間の逆行”と呼ばれる装置が開発され、人や物が過去へと移動できるようになっていた。 ミッションのキーワードは<TENET>。「その言葉の使い方次第で、未来が決まる」。

謎のキーワード、TENETを使い、第三次世界大戦を防ぐのだ。突然、巨大な任務に巻き込まれた名もなき男。彼は任務を遂行する事が出来るのか? そして、彼の名前が明らかになる時、大いなる謎が解き明かされる――。

テネット 公式サイト

おすすめポイント

おすすめポイント
  1. 未知の体験
  2. ニールの正体
  3. 飛行機を実際に爆破

感想・解説(ネタバレあり)

良かった点・気になった点

まじでやばい。「こんな映画見たことない!」という宣伝文句が良くありますが、まさにそれに当てはまる未知の体験をする事ができる作品。

時間の逆行という事で、なかなか難解な作品。『インセプション』の方がまだ理解しやすかったと思います。

ノーラン監督作品に『メメント』があるのですが、まさにそれを彷彿とさせるような…あれをよりパワーアップさせた映画になっています。

一体どうしたらこんな内容を思いつけるのか、ノーラン監督の頭を覗きたいくらい。

そしてこれで行こう!と決めたワーナーブラザース(配給会社)も凄い。まじで完璧に理解してる人はいないんじゃないかと思います。

CMで俳優のGACKTが「2回観た」と言っていましたが、まじで2回観ないとなんのこっちゃだと思います。

そして2回目からは映画そのものの見方が変わるでしょう。

この映画をすべて観た後に納得できるように仕向けられてると思うのですが、私の頭では追いつけないくらいスピードが速く、どんどん物語が進んでいきます。

説明があまりないので、頭の中に?マークがあるまま進んでいった人も多いのではないでしょうか。

まあそれも含めノーラン監督の思惑通りなのかもしれません。もっと見たくなる…そんな思いを抱くことが出来る映画だと感じました。

映画自体は2時間半と若干長めですが、かなり時間が経つのが早かったと思います。

飽きさせない工夫をしていたのもありますが、所々で感じる【あのシーンはそういう事だったのか】を体験できるので、鳥肌が立ちます。

あの感覚はそう簡単に再現できるものではありません。やはり脚本自体が素晴らしいと、必然的に映画自体も素晴らしいものになってゆくのだと思います。

そして時間が逆行するので、逆向きに歩いている人がいるのですが、後半の飛行場で逆行しながら走ってるシーンはまじで笑いました。

なかなかシュールな映像になっていると思います。2020年公開の映画ではぶっちぎりでNo.1になると確信してもいいでしょう。

IMAXで上映

今作で印象的だったのはBGM。大事な場面で流れる音楽は、緊張や不安などを感じさせてくれるような、映画の手助けにしっかりとなっているなと感じました。

エンディングの音楽は、かなり低音が響いており、映画館てこんなに音を体験できるんだと改めて感じさせられるような作品だったと思います。

私は普通の映画館に行ったのですが、今作はIMAXでも上映されており、通常では見えない画面の外側の範囲を見る事が出来ます。

ノーラン監督はIMAXにこだわっているので、彼の意図を理解する為にはIMAXで見る方がいいんですけどね~。私の家の近くにはないので残念です。IMAXってなんなの?と思う方向けに、別記事でも解説しているので是非。

セイターの役割

今作の特徴として、やはり理解に苦しむと言った声が多いのではないでしょうか。もちろんこれは誉め言葉。

劇中では逆向きに人や車が進んでいるので、違和感だらけ。さらに回転扉やタイムパラドクスアルゴリズムなど意味のわからない単語も多く見受けられました。

最初から順に解説していこうと思います。

まず最初の方で科学者のバーバラに【時間の逆行】の説明を受けていますが…

TENETという謎の組織があり、主人公が雇わます。バーバラも言っていましたが【第三次世界大戦】を防ぐ為に任務にあたるのですが、本当はもっと恐ろしい事が。

それは時間の逆行により、すべての生命が一瞬で消えてしまう事。

そしてこれを実行する事ができるのが、武器商人であるセイターです。

彼は未来から選ばれた人間で、彼が死ぬと手首につけた脈を図る機械にスイッチが入るようになっており、末期の膵臓癌である彼は人類を道連れにしようと計画。

それを止める為にTENETの一員である主人公や相棒ニールが活躍するのです。

ニールの正体

それ以前にオペラハウスでの襲撃事件から、主人公の名もなき男がバーバラに会うまでの一連の流れからまず難しい。主人公はある人物を助ける為に潜入しましたが…

途中撃たれそうになった所を誰かに助けてもらいます。あれはおそらく時間の逆行ですよね。

一体誰に助けてもらったのか?

それは主人公の相棒ニール。彼はずっと前から主人公の事を知っており、未来の彼に雇われている事も発覚。

ニールは主人公に対し進む時間が逆行しているので、最初の方で初めて出会った主人公に対し「ダイエットコークが好き」な事を知っていました。

ハイポセンター(核実験に使われる施設)に突入した時、扉の向こう側にいて助けてくれたのもニール。その時彼のかばんにはストラップがついており…

ラストのシーンでもニールのストラップが映る場面が。しかしなぜニールは助かったのでしょうか?

それは逆行するニールの時間軸で彼が死ぬ前に順行の時間軸へと入り、そこで主人公たちを助けたから。

なのでもし彼があの時に時間軸を変更していなければ、彼は死んでいたかもしれません。実際に順行世界での主人公たちはニールが死んでいるのを見ていますから。

ニールは順行に入った後、車で主人公たちを助けます。その後逆行の時間軸に入り、地下の牢屋の扉を閉め、敵の銃撃を受け、その場に倒れ絶命します。

そうする事で死体が勝手に生き返るシーンの説明がつくかと思います。

扉の鍵が開いたのも、逆行ニールが扉を閉めたから。順行では逆の事が起こり、扉が開いたのです。

つまり一見助かったように見えたニールも、実はラストシーンの後は逆行して絶命しないとあのシーンは作り出されないので、おそらくニールは死んでしまったのでしょう。

この見解が合っているのかわかりませんが、できれば何度も見て確認したいと思います。

ニールはキャットの息子?

これは完全な考察になりますので、こういう考え方もあるんだなと思って聞いてください。

ニールは主人公とは逆行した時間軸で生きており、未来の主人公に任務を依頼されました。

という事は主人公に依頼されたのは今よりかなり昔になり、ニールはまだ子供くらいの年齢だったはず。つまりそれがキャットの息子ではないかという推測。

幼いマックス(キャットの息子の名前)が逆行しながら時間が進み、どこかのタイミングで主人公を助ける為に順行した時間軸に入ったのではないかと。

そうすれば二つが重なる場面が存在する事に。

さらにマックスという名前は愛称でマキシミリアンという名前の可能性が。フランス語での表記はMaximilien。主にヨーロッパの男性名として使われています。

その単語の最後の四文字に注目してみてください。逆から読むと…

lien→neil(ニール)

もちろん偶然の可能性も高いですが、ノーラン監督ならやりかねません。映画を観た人にいろいろと考えさせるのが得意ですからね。

時間の逆行とは?

そもそも時間の逆行が意味わからんと思う人も多いと思います。そして私もその一人です。

我々が通常持っている概念は【未来の出来事はわからない】【未来に向かって時が進んでいく】というもの。

しかし時間の逆行とは【未来から過去】に向かって進んでいく事であり、そちら側の視点で考えると、こちらの時間が逆行しているように見えます。

高速道路のカーチェイスのシーンは鳥肌ものでしたね。

途中で車が逆向きに走っており、主人公はアルゴリズムを奪われてしまいます。そして横転した車が目の前で元に戻っていくのですが…

後にアルゴリズムを取り返す為にセイターを追うシーンで、最後は横転して車が爆発。

つまり最初に見た横転した車が元に戻る映像は、逆行して戻ってきた自分自身だったのです。

逆向きで走っていたセイターの車も、未来で知り得た情報を元に、過去(つまり逆行していない世界)の主人公たちが持っているアルゴリズムを盗もうとしました。

普通のタイムトラベルとは違い、時間が逆行するので、ああいった現象が起こります。タイムトラベルは、過去に戻れるかもしれませんが、時間が逆に進むわけではないですからね

その後何回も回転扉を使って現在と未来を行き来しており、飛行機を爆破したシーンでは、まさか自分と戦っていたとは思いませんでした。

あの時からニールはすべてを知っていたので、始末したと嘘を付き、やり過ごしていました。

なぜキャットは致命傷?

セイターに囚われていた順行キャットは逆行弾によって脇腹を撃たれます。脇腹を撃たれただけでは、重症とまではいかないと思うのですが、逆行弾で撃たれた彼女は致命傷に。なぜ逆行弾で撃たれると致命傷になるのでしょうか。

それは逆行弾を可能にする物質。放射性の物質が入っている弾だから。

その放射性の物質が体を蝕むので、死に至る確率が高くなります

そんな彼女を助けようと逆行した時間軸に入り込み、時間を逆行させる事により、治療に数日かかる時間を稼ぎ出したと考えられます。

アルゴリズム

最後の決戦でもそうですが、なぜ主人公たちは戦っていたのでしょうか?それはアルゴリズムが大きく関係してきます。

アルゴリズムとは、時間を逆行させる【手順】であり、未来の科学者が発見しました。

しかし彼は恐ろしい技術が悪用されるのを懸念し、アルゴリズムを9つに分解して過去に送り、自殺を図ります。

セイターはそのアルゴリズムをすべて集めようとしていました。その一つが241。映画冒頭のオペラハウスを襲撃するシーンでは、241を探していました。

それを主人公が奪いましたが、結局行方知れず。そしてそれが再び高速道路のカーチェイスのシーンで登場するのです。

変な形をした物体ですが、それを9つすべて集めようとしているセイター。241が最後のパーツだったので、ハイポセンターでアルゴリズムを奪う事に成功した時は9つすべて揃っていました。

最後に部隊のリーダーであるアイヴスが「生きて帰れない」と言っていたのは、未来で自殺した科学者同様、アルゴリズムを守る為に死ななければならないことを示唆しているのです。

キャットの過去

主人公たちがハイポセンターに潜入している時、セイターの妻であるキャットは、セイターが自殺を図るのを遅らせる為にセイターと会話をしています。

彼が自殺を図る前に、アルゴリズムを奪わなければならない。それが最重要ミッション。

しかしキャットはずっと支配され続けていたセイターに対し、憎しみがこみ上げてきます。背中にローションを塗り、隠し持っていた拳銃でセイターに発砲。

床を水で濡らしていたのは、セイターを船から落とす為に、滑りやすくしていたのです。ローションを塗ったのも同様の理由。

彼が船から落ちて死ぬ前に何とかアルゴリズムの回収に成功。人類は救われました。

逃げようとして船から海に飛び降りるキャット。それを過去のキャットに見られます。

実は最初にキャットが「船から飛び降りる女を見た。あんな風に飛び込めたら」と主人公とレストランで会話をするシーンがありますが、それは自分自身だったのです。

その後主人公はすべての黒幕は自分だと気づき、TENETの組織は自分が作った事も理解。

そして組織のルールを破り、キャットを殺そうとしていたプリヤを射殺します。未来の自分が雇ったプリヤを。

うまく繋げてくるノーラン監督の演出は素晴らしいとしか言いようがありません。

テネット(TENET)とは?

謎の組織TENET。劇中では主義という単語に翻訳されていましたが、他にも信条や信念といった意味が。

逆から読んでもTENETなのですが、ノーラン監督はこれにこだわっており…

SATOR AREPO TENET OPERA ROTAS

というラテン語の回文があり、これを単語ごとに縦に並べると、どこから読んでも同じになるというもの。

この回文の意味自体は「農夫のアレポは馬鋤きを曳いて仕事をする」ですが、それぞれの単語も劇中で使われています。

SATOR…武器商人のセイター
AREPO…アレポ(贋作の作者)
TENET…テネット
OPERA…オペラ
ROTAS…空港の警備会社

何とも言えない演出ですよね。

ワーナーのロゴ

映画を観た時には気づかなかったのですが、冒頭で出てくるワーナーブラザースのロゴの色とエンディングのロゴの色が違うらしいのです。

・冒頭…赤色
・最後…青色

映画を観た人はわかると思いますが、これは劇中でも使われた時間の順行が赤逆行が青という設定にかけているのです。

初めて知った時は鳥肌が立ちました。ノーラン監督やばいですね。

劇中ではキャットがセイターに銃で脅されてるシーンで、順行の部屋が赤で逆行が青でした。さらに最終決戦のチーム分けも分かりやすいように順行チームは赤で逆行チームは青

映画の始まりは順行。そして終わりは逆行。つまり映画をもう一度最初から観てほしい、若しくは逆再生で見ると違った見方ができるという意味が込められているのかもしれません。

2回目を観に行く方は注目してみてください。

飛行機の爆破シーン

公開前から話題になっていましたが、劇中で巨大な飛行機が倉庫に突っ込んで爆発するシーンがあるのですが…

実際の飛行機を突っ込ませ爆破させたので、CGは使っていません。

頭おかしいですよね。しかし実際に爆破させたことにより、臨場感が伝わってくる結果に。

ノーラン監督はCGが好きじゃないので、極力使わないようにしています。その為…

2014年公開『インターステラー』では、東京ドーム約43個分のトウモロコシ畑を実際に耕し、それを燃やしたり、『ダークナイト』ではトラックを実際に横転させました。

CGを使わないリアルな映像にする事により、違和感なく観る事ができるのだと思います。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • ニールがスタルスク21の場所で鍵のかかった扉を閉めたとありますが、あれは逆行しているニールだったので映画の中では、死体から起き上がり扉を開けて廊下に走って行ったはずです。
    なので最後のシーンで主人公と別れたニールはあそこからまたスタルスクの時間軸に戻り、鍵を開けれずにいる主人公を助けに行き鍵を開けて撃たれて死ぬというのが正しいです。

    • コメントありがとうございます。私自身も完全に把握しているわけではないのですが、順行視点の主人公から見て鍵が開いたように見えるのは、逆行視点のニールが鍵を閉めたからだと推測しました。様々なネットの意見や他のブロガーさんも鍵を閉めたという風に書いてあったのでそちらが正解かと思っていたのですが、もう一度確認してみたいと思います。

      わざわざご指摘ありがとうございます。

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